東京都現代美術館でやっているオノヨーコさんの展示、「私の窓から」を見てきた。
最後の方に展示されている”We’re All Water”という作品がある。
ずらっと並んだお椀に水が入っていて、それぞれに歴史上の人物や芸術家、政治家などの有名な名前のラベルがつけてある。彼女の歌っている同名の曲をヘッドフォンで聴きながら、ひとつひとつの名前を見ていたら、涙が出てきた。
私たちはみんな結局は同じ水で、違う容れ物に入っているだけ。
そういう考え方は、スピリチュアルな本なんかを読むとよく書いてあるし、それ自体は今の時代にはそんなに目新しくないのかもしれない。でも、それをこれだけシンプルに明確に、感覚にずっしりと響く形で訴えて伝えることのできる人は、なかなかいないと思う。
そして、彼女はそれを何十年も前からずーっとやってきた。全然ぶれていないのだ。
とても感動して家に帰って、その翌日、パリでテロが起きた。
ああ、と思った。オノヨーコさんのメッセージがぶれないのは、世界が、私たちが、彼女の伝えようとし続けていることを学んでいないからなんだなあ、と。
愛と希望に満ちた平和な世界は可能だと、彼女は一貫して訴え続けている。でも、世界はまだお互いを否定したり、責めたり、攻撃したりするエネルギーにあふれている。国や宗教の間だけじゃなく、個人の間でも。というより、私たち個人のひとりひとりが、誰かを責めたり否定したりすることをやめることができれば、きっと世界は変わるはずなのだ。だから、それはものすごく難しいのだ。
それでも、オノヨーコさんは諦めずにメッセージを発し続ける。彼女の見ている世界が本当はそこにあるのだということを、伝え続けてくれる。
道のりは果てしなく遠いけれど、せめて、何かをする時や言葉を発する時にはなるべく愛と希望を忘れないように、気持ちいい状態でいられるようにできたらいいなあと思う。
We’re all water from different rivers
That’s why it’s so easy to meet
We’re all water in this vast, vast ocean
Someday we’ll evaporate together私たちはみんな 違う川を流れる水
だから出会うのもとても簡単
私たちはみんな この大きな大きな海の水
いつか蒸発する時は みんな一緒